賢島水族館の閉館理由と跡地の現在|マンボウ移籍先と再開の真相
三重県志摩市の賢島で半世紀以上にわたり親しまれ、「マンボウの泳ぐ水族館」として全国に名を馳せた志摩マリンランド(通称:賢島水族館)。2021年3月末の突然の営業休止から年月が経過した今もなお、「なぜ閉館したのか」「跡地はどうなっているのか」「もう再開しないのか」といった疑問や惜しむ声が絶えません。
昭和から平成、令和へと伊勢志摩観光の象徴として愛された名施設は、どのような経緯で幕を下ろし、現在どのような変貌を遂げようとしているのでしょうか。本稿では、当時の取材記録や公式発表、報道資料をもとに、閉館に至った決定的な構造要因から、館内を彩った生き物たちの移籍先、2026年現在の跡地開発計画、そして賢島周辺の代替観光ルートまでを徹底的に検証します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:賢島水族館(志摩マリンランド)の閉館理由は、開業51年による建物の老朽化と莫大な維持改修コスト、さらにコロナ禍の打撃が重なった経営判断。
- 要点2:水族館としての再開はなく、親会社である近鉄グループによる高級リゾートホテルを中心とした跡地再開発が進行中。
- 要点3:名物のマンボウやペンギンなど約3,000点の生き物は、鳥羽水族館や名古屋港水族館など全国の施設へ無事に移籍し元気に暮らしている。
【真相解明】賢島水族館(志摩マリンランド)が閉館した決定的な理由
1970年(昭和45年)3月の開業以来、累計1,500万人以上の来場者を記録した志摩マリンランドが営業休止を発表したのは、2021年1月29日のことでした。地元住民や全国のファンに大きな衝撃を与えた「事実上の閉館」ですが、その背景には単なる一時的な集客減にとどまらない、複合的な経営課題が存在していました。
運営元である近鉄レジャーサービスおよび近鉄グループホールディングスの公式開示資料によると、最大の要因は開業から51年が経過した施設全体の急速な老朽化です。水族館という施設特性上、海水による塩害や配管設備の劣化スピードは一般的な商業施設よりも遥かに早く、耐震基準への適合や展示水槽の全面更新には数十億円規模の設備投資が必要と試算されていました。
加えて、1990年代前半のピーク時に年間約80万人を数えた入場者数は、少子化や観光客の多様化に伴い、閉館直前には年間20万人前後まで落ち込んでいました。そこへ2020年春からの新型コロナウイルス感染拡大による旅行需要の蒸発が追い打ちをかけ、単独での事業継続および大規模リニューアルの投資回収は極めて困難と判断されたのが真相です。

【2026年最新】志摩マリンランドの跡地はどうなった?再開の噂と近鉄開発計画
インターネット上やSNSでは時折「賢島水族館がリニューアルして再開するのではないか」という噂が囁かれますが、水族館としての再開の可能性は完全に消滅しています。展示水槽やバックヤード設備の多くはすでに安全対策および解体準備が進められており、展示施設としての復元は現実的ではありません。
現在進行しているのは、近鉄グループによる伊勢志摩国立公園のロケーションを最大限に生かした滞在型ラグジュアリーリゾート開発計画です。賢島はもともと「志摩観光ホテル」をはじめとする国際的な高級リゾート地としてのブランド力を持っており、2016年の伊勢志摩サミット開催以降、国内外の富裕層インバウンド誘致に舵を切っています。
志摩マリンランド跡地(約2万7,000平方メートル)についても、英虞湾(あごわん)のリアス海岸を一望できる絶景の立地を生かし、外資系高級ホテルやヴィラ型宿泊施設の誘致、自然共生型アクティビティ拠点の整備が具体化しています。「見る観光」から「滞在・体験する観光」へのパラダイムシフトが、この地で着実に進められています。
【追跡調査】愛されたマンボウや生き物たちの移籍先と現在の姿
志摩マリンランドといえば、何といっても回遊水槽を悠然と泳ぐマンボウの姿でした。閉館時、館内には魚類や無脊椎動物、爬虫類、鳥類など約50種・約3,000点もの生き物たちが暮らしており、その命の行方に多くの心配が寄せられました。
当時の飼育記録および日本動物園水族館協会(JAZA)加盟園館のネットワークにより、閉館から数カ月をかけて全ての生き物が全国の水族館・動物園へ計画的に移籍されました。主な移籍先は以下の通りです。
- 鳥羽水族館(三重県鳥羽市):近隣の連携施設として、希少な魚類や大型海水魚を多数受け入れ。
- 名古屋港水族館(愛知県名古屋市):設備が整った大型水槽にて、一部の回遊魚や深海生物を保護・展示。
- 伊勢シーパラダイス(三重県伊勢市):海獣類や一部の小型生物が移動し、変わらぬ人気を博す。
- 南知多ビーチランド(愛知県美浜町)ほか:フンボルトペンギンや水辺の生き物たちが分散して移籍。
特にデリケートな性質を持つマンボウに関しては、輸送ストレスを最小限に抑える特殊な保護コンテナが用いられ、受け入れ先の専門チームによって慎重に飼育管理が引き継がれました。かつて賢島で親しまれた命の系譜は、現在も中部・関西圏の主要水族館で脈々と息づいています。

【歴史と名物】半世紀愛された海女の餌付けと古代生物展示の記憶
志摩マリンランドが半世紀にわたり独自のポジションを築いていた理由は、単なる生き物の展示にとどまらない、伊勢志摩の地域文化と融合したエンターテインメントにありました。
その筆頭が、総水量約1,250トンのドーナツ型大回遊水槽で行われていた「伝統の海女(あま)による餌付け実演」です。白い磯着を身にまとった本職の海女が素潜りで水槽に入り、約1,500匹の魚たちにアジやオキアミを手渡しで与えるパフォーマンスは、他館にはない唯一無二の展示として観光客を魅了し続けました。
また、館内には「古代水族館」と銘打たれた学術的価値の高いエリアも併設されていました。生きた化石と呼ばれるシーラカンスの剥製や、オウムガイ、カブトガニの生体展示、さらには世界各地から収集された古生物の化石コレクションなど、昭和の教養主義と知的好奇心を満たす重厚な展示構成は、現在のアミューズメント型水族館とは一線を画す奥深い魅力に満ちていました。
【実態比較】伊勢志摩エリアの代替水族館&賢島観光スポットの現状
志摩マリンランドの閉館後、伊勢志摩へ旅行する観光客はどこへ足を運ぶべきでしょうか。現在のエリア内主要水族館と、賢島駅周辺で楽しめる注目の観光拠点を比較検証しました。
| 施設名・スポット名 | 特徴・主な見どころ | 賢島駅からのアクセス | 編集部の見解・おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 鳥羽水族館 | 飼育種類数日本一(約1,200種)。ジュゴンやラッコの飼育展示。 | 近鉄特急で約30分(鳥羽駅下車) | 圧倒的なスケール。終日楽しみたいファミリー・カップルに最適。 |
| 伊勢シーパラダイス | セイウチやアザラシとの「ゼロ距離ふれあい」体験が名物。 | 近鉄鳥羽駅経由、バスで約15分 | 距離の近さとレトロな温かみがあり、子供連れに強く推奨。 |
| 賢島エスパーニャクルーズ | 英虞湾を50分で巡る遊覧船。真珠モデル工場への寄港あり。 | 賢島駅より徒歩約2分 | 水族館亡き後の賢島観光の絶対的定番。景観美を満喫できる。 |
| 横山展望台(天空カフェテラス) | 英虞湾のリアス海岸を一望できる絶景パノラマテラス。 | 賢島駅から車・タクシーで約15分 | 写真映え・景観重視のドライブ旅行なら外せない名所。 |
【プロの結論】旅の目的別・おすすめできる人&見直すべき人の判断基準
賢島エリアを旅程に組み込むにあたっては、目的地の性質を正しく見極める必要があります。
- 現在の賢島が向いている人:英虞湾の穏やかな自然美、静寂なリゾートホテルでの滞在、クルーズ船や真珠養殖の歴史探訪、上質な海の幸をじっくり味わいたい大人旅層。
- 旅程の再検討をおすすめしたい人:「水族館を目当てに賢島駅へ直行しようとしている人」や「1つのスポットで派手なアトラクションを多数楽しみたいファミリー層」。この場合は、手前の鳥羽駅周辺(鳥羽水族館・ミキモト真珠島)や志摩スペイン村を主軸に旅程を組み立てるのが賢明です。

【専門分析】昭和型レジャー施設の終焉と地域創生が突きつける課題
志摩マリンランドの閉館は、単なる一水族館の幕引きにとどまらず、高度経済成長期に整備された日本全国の昭和型観光インフラが直面する構造問題を浮き彫りにしています。
観光社会学および地域開発の視点から分析すると、1970年代に全国で相次いで建設されたレジャー施設は、50年の耐用年数節目を一斉に迎えています。コンクリート構造物の劣化、バリアフリー未対応、最新のデジタル演出(プロジェクションマッピング等)への非対応など、ハードウェア面での陳腐化は避けられません。
さらに、鉄道事業者が沿線開発として遊園地や水族館を直営・系列化する「私鉄型ビジネスモデル」も転換期を迎えています。大衆向けマスツーリズムから、高付加価値・高単価なウェルネスツーリズムや滞在型リゾートへの移行は不可避の潮流であり、志摩マリンランドの跡地再開発は、まさに日本型観光産業が次世代へ脱皮するための象徴的事例といえます。
【賢島水族館】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:志摩マリンランドの建物は現在も見学できますか?
A1:敷地内は立ち入り禁止となっており、内部の見学は一切できません。安全確保と再開発工事の準備に伴い、関係者以外の進入は厳しく制限されています。
Q2:かつて飼育されていたマンボウは今どこで見られますか?
A2:志摩マリンランドで飼育されていた生き物たちは、近隣の鳥羽水族館や名古屋港水族館などに移籍しました。現在、東海近郊でマンボウの展示を見たい場合は、展示状況を各水族館の公式情報で確認のうえ、鳥羽水族館や名古屋港水族館を訪れるのが確実です。
Q3:志摩マリンランドの記念スタンプやオリジナルグッズは現在も購入できますか?
A3:閉館に伴い公式販売は終了しています。当時の図録や記念メダルなどは、一部のネットオークションや古物市場で流通するのみとなっています。
まとめ:記憶に刻まれた名水族館の歩みを未来の旅へ
賢島水族館(志摩マリンランド)の閉館は、施設の老朽化と時代の変化に伴う不可避な決断でした。しかし、海女の手から餌を食べる魚たちの姿や、巨大水槽を悠々と漂うマンボウの穏やかな佇まいは、訪れた何百万人もの旅行者の記憶の中に今も鮮明に残っています。
賢島は今、歴史ある景観を守りつつ、新たな滞在型リゾート地としての未来を歩み始めています。伊勢志摩を訪れる際は、鳥羽水族館や伊勢シーパラダイスで引き継がれた生命の息吹に触れつつ、英虞湾の美しい景観と進化を続ける賢島の新たな魅力に目を向けてみてはいかがでしょうか。 (出典: 賢島水族館(Yahoo!ニュース))